詩とメルヘン絵本館は、雑誌『詩とメルヘン』の創刊以来、やなせたかしが手掛けてきた表紙のイラストやカットを一堂に集めたギャラリーです。
やなせたかしが描いた『詩とメルヘン』の表紙イラストや挿絵をはじめ、詩、漫画など多彩なやなせたかしの世界を紹介します。
年に2〜3回の企画展では、『詩とメルヘン』ゆかりの作家や国内外の絵本作家等の原画展を開催します。
「この本はちょっとふしぎな本です。
非常に個人的な偏見と趣味に偏してつくられています。
すべて読みやすくということが主眼で大きな活字でザックリと組みました。
読者層は十才から九十才ぐらいまでを対象にしました。
本職の詩人もいますが、大部分は全くの無名の人の詩を、ガリ版刷りの同人誌や、手描きの詩集からひろいあつめました。
この本ははじめからものすごく大量に売れることはないと覚悟して、わがままに自由につくってありますが、
それでもできるだけのぜいたくをしました。
商業主義に毒されたくはありませんが、全く売れなければ一号だけでつぶれます。
一万部売れれば収支トントンで次号がだせます。
さて、どうなりますことか。あなたは買いますか?」
(『詩とメルヘン』創刊号編集前記より)
「詩とメルヘン絵本館」は、
アンパンマン以外の作品と絵本を中心にしたイラストレーションの美術館です。
『詩とメルヘン』というぼくが編集長をしている月刊誌を母体としていますが、
逆に考えるとミュージアムの機関誌が『詩とメルヘン』ともいえます。
さらにもう少し拡大して、絵本のイラストレーションの
ギャラリーでもあるようにしたいと欲ばったことを考えています。
それにしてはちょっとせまいのですが、夢は大きくもった方がいいのでいろいろと思案しています。
『詩とメルヘン』はプロもアマも大人も子どもも区別しないごく気楽な編集方針ですが
「詩とメルヘン絵本館」もおなじです。
疲れたひとはここで休んでいってください。
幸いにしてあたりの自然はとても優しく美しい。
ぼくの絵本の原画だけでも、
アンパンマン以外に未公開のストックが無数といっていいぐらい沢山ありますので、
そのうちに内・外の作家の展覧会も含めてぜひ見ていただきたいと考えています。
どうか、これからもアンパンマンミュージアムとあわせて
「詩とメルヘン絵本館」もよろしくおねがいいたします。
平成10年8月
香美市立やなせたかし記念館 詩とメルヘン絵本館
名誉館長 やなせたかし